「寄付した髪が必要な人に届くまで」イベントレポート~医療用ウィッグを取り巻く人・想いをつなぐfinoの社会貢献プロジェクト~
ヘアケアブランド「fino(フィーノ)」が2022年4月より始動した、新しい社会貢献のカタチを提案するプログラム「HAIR TOUCH YOU のばせば届く。」。従来のヘアドネーションという枠を超え、医療用ウィッグが必要な方の手に届くまで、ウィッグを取り巻くすべての方々をつなぎ、その想いを見える化するプログラムです。
社会貢献という言葉が定常化し、様々な取り組みがなされる昨今、子どもたちもまたその担い手になってほしいという思いから、夏休み期間である8月22日に親子参加型ワークショップが開催されました。
本プログラムの一環として行われたこのワークショップのテーマは、「#髪からはじめるちょっといいこと。“寄付した髪が必要な人に届くまで”」。小学生の親子10組とともにファイントゥデイ広報チームの親子も参加しましたので、その様子をレポートします。
この日の「時間割」~医療用ウィッグを取り巻くさまざまな人・工程を知る!~
ファイントゥデイ サステナビリティ本部企業広報グループの谷口です。
都内某所、美容室で行われた「#髪からはじまるちょっといいこと – 寄付した髪が必要な人に届くまで」をテーマとしたワークショップに、我が家も小3の娘と共に参加しました。
会場に入ると、子どもたちには「時間割」が渡されました。主に座学と体験で2部制の授業が組まれていて、医療用ウィッグを取り巻く多くの人・工程を知ることができる盛りだくさんの内容が用意されていました。
おしゃれ用と医療用ウィッグは全然違う!?より自分らしく前向きな気持ちへ
授業の前半は、医療用ウィッグについて理解を深めるための座学の時間。
医療用ウィッグの製作を手がけているNPO法人「全国福祉理美容師養成協会」の野島美都さん、そしてがん罹患により実際に医療用ウィッグを使用されていたSKE48の元メンバーで、現在はタレント・声優として活動されている矢方美紀さん、2人の先生からお話を聞きました。
医療用ウィッグができあがるまでに、①寄付された髪を長さごとに「仕分ける」→②「殺菌・消毒」をする工場へ送る→③ウィッグを「製作」する工場へ送る→④最終チェックをして「仕上げのカット」、という工程があることを学びました。
また子どもたちが理解しやすいように、ハロウィンなどのイベントで使うようなおしゃれ用ウィッグと比較した、医療用ウィッグの特徴を教わりました。医療用はおしゃれ用と違い人毛でできているため、好きな色にカラーリングしたり、パーマをかけたりすることもできるそうです。矢方さんからは、シャンプーやトリートメントでお手入れができることも教えてもらいました。さらに、「もし病気になって髪の毛をなくしてしまったとしても、医療用ウィッグで自分らしさを表現できる」、そして「周りには手を差し伸べて助けてくれる人がたくさんいるから大丈夫」というメッセージがあり、深く心に沁みわたりました。
先生方からのお話を聞いた後、子どもたちは自分にできる“ちょっといいこと”を考えて発表しました。
我が家の娘は「髪を少しでも(長く伸ばして)切って、困っている人にあげたい」と付箋に記入。お話が難しくなかったか、理解できたかどうか親として気がかりでしたが、先生方のお話を通じ他の人に思いをはせることができていて少し安心しました。
寄付された髪の毛の仕分け体験。ヘアドネーションカットも目の前で見学
そして授業は後半に突入。2グループに分かれて、寄付された髪の毛の仕分け作業・医療用ウィッグの試着を交互に体験しました。
娘のグループは、まず医療用ウィッグの試着から。さまざまな髪の長さ・色の種類がある中から、ボブくらいの長さで明るめの髪色のウィッグを着けてもらいました。
普段と違う印象になった自分に驚きながらも、医療用ウィッグで自分の好きなヘアスタイルを表現できること、通気性もよく本当に自然に着けられることを体感しました。
次は2人1組となって、寄付された髪の毛の仕分け作業。手に取った毛束の長さ・カラーリングの有無などを確認して、細かく種類分けされたボックスの中に毛束を入れていきます。
子どもたちは巻き尺で真剣に長さを測り、髪の毛の手触りを入念に確かめて仕分け作業に集中していました。
また自分の髪の長さも測ってもらい、寄付ができるかどうかもチェック。寄付には31cm以上の長さが必要*であり、カットした後自分自身のための髪の長さもある程度必要です。娘は自分でも髪が長いほうだと思っていましたが、寄付するためにはまだまだ長さが足りないことがよくわかりました。
* ヘアドネーションの受付基準は各団体によって異なります
そして後半授業のもう一つ大きなワークとして、2年間伸ばしてきた髪をこの日実際に寄付する、中学1年生の莉衣紗さんと美容師の大野さんによるドネーションカット実演の見学がありました。
印象的だったのは、ファーストカットは美容師の大野さんではなく莉衣紗さんによるセルフカットだったこと。大野さんからは、「寄付をする人が今日までに伸ばしてきた髪の毛には、たくさんの想いがつまっている。だからこそ今日が素敵な思い出になるように、最初は本人にハサミを入れてもらうようにしている」というお話がありました。
ワークショップを終えて。たくさんの方々の想いがのせられ、バトンは繋がっている
約2時間の授業はこれで終了。今回のテーマであった「寄付した髪が必要な人に届くまで」に、それぞれの工程で携わる多くの方々の色々な想いがのせられ、バトンが繋がれていることを知りました。
帰宅して娘ともこの日のイベントを振り返ってみました。病気のために髪の毛が抜けてしまい、医療用ウィッグを着けていた別の著名人の方を以前テレビで見ていたこともあり、落ち着いて内容を理解することができたようです。一方で髪の毛の仕分け作業を通じて、自分の髪の長さはまだまだ寄付には足りないことを実感したのが、今回本人にとって大きな気づきとなったようでした。
医療用ウィッグを必要としている方がいることを理解する。医療用ウィッグができあがるまでにどのような人・想いが関わっているのかを知る。ヘアドネーションに挑戦してみる。この日教わったことを通じて、何か少しでも自分たちにできることを、これからも親子で一緒に考え続けて実践していきたいと思っています。
▼「HAIR TOUCH YOU のばせば届く。」担当者のインタビュー記事はこちら