0→1の価値創造。世界中をときめかせる会社をめざして【トップインタビュー】
2024年7月、資生堂からパーソナルケア事業を引き継いで誕生したファイントゥデイは、創業3周年を迎えました。そこで、経営陣がグループのこれまでの歩みを振り返りながら、ファイントゥデイが目指す未来とそれぞれの想いにフォーカスするトップインタビュー連載をスタートしました。
第3回は副社長執行役員CBO(チーフ・ブランディング・オフィサー)の石川さん。数々のブランドの生みの親でもある石川さんに、ファイントゥデイ創業時からの挑戦と、思い描くブランドの未来について聞きました。
ワンアジア視点のブランドポートフォリオ策定から、新ブランド+tmrのローンチまで
―創業から3年間、CBOとしてファイントゥデイを率いてこられました。苦労したこと、やりがいを教えてください。
石川:私にとって、苦労とやりがいは同義です。苦労があるからこそ達成感が味わえ、自分と自分のチームが経営に貢献できた喜びややりがいに繋がります。特に突出していることは、「会社創設前のミッション・ビジョン・バリューの策定」、「会社設立直後のブランドポートフォリオの策定」、そして、まだ続いている「パッケージ切替プロジェクト」の3つです。
2021年2月3日に資生堂からの分離独立が発表された後、すぐにさまざまなプロジェクトチームが組まれ、私は半年に満たない期間で新会社の社名、ロゴ、ミッションの策定をリードしました。創業日に社員の名刺に会社名が印刷されていること、公式サイトで当社のミッションを開示することがゴールでしたので、相当タフなもので、ハラハラ・ドキドキの連続でした。5カ月後、事業開始前日に船出式やプレス発表会を迎えられた時は感無量でした。またその後、策定したミッションに共感して「ファイントゥデイで働きたい」と多彩なタレントが集結してくれたのは、策定者冥利につきる思いでした。
同じく会社創設前の2021年2月3日、私が社員に向けて公約したのが、「FT(※)のFTによるFTのためのブランドポートフォリオ策定」でした。(※ファイントゥデイの前身となる資生堂のパーソナルケア事業の呼称。)
創業直後から、外部コンサルの力も借りながら、どの国や地域のどのような生活者に私たちのブランドが支持されるかを喧々諤々議論し、資生堂から引き継いだブランドがアジア全域で支持を得る機会を見出しました。最初に公約した新ブランド開発でも、+tmr(プラストゥモロー)を本年ローンチし、ホッとしたのと同時に、いよいよファイントゥデイの底力の見せ場が来た!との思いです。
―3つめのパッケージの表示切替は、現在も進行中のプロジェクトですね。
石川:このプロジェクトには、最も多くの時間と労力を割いてきました。お客さま窓口、製造販売元の変更を経て、来年のJANコード変更に向けて今もなお作業は続いています。国内外含めて数百品以上の製品一つひとつの表示を、資材・製品償却を極小化しつつ順次切り替えていく計画立案とオペレーションは容易ではありません。一つ間違えれば製品回収になるため、バリューチェーンすべての部門とのきめ細やかな連携が不可欠です。根気と忍耐力の要る作業を続け、ここまで来られたのも、社内はもちろん、資生堂、サプライヤーや流通企業など多くの関係者のご理解とご協力のおかげだと思っています。
わたしたちのブランドは、美しく充実した“今日”を届けています
―ファイントゥデイグループには、どのような強みとユニークさがあると思われますか?
石川:明確な強みは3つあります。ブランド、事業経営、そして社員です。
一つ目はブランドです。資生堂から素晴らしいブランドを承継できたことを誇らしく感じています。他社が簡単には真似できない、独自の付加価値があるからです。SENKAの泡、エージーデオ24のニオイケア、TSUBAKIの美的センス、フィーノの濃厚なダメージケア効果など、生活者にワクワクする心躍る体験、あるいはホッとやすらぐ安心感を届け、美しく充実した“今日”を届ける事が出来ています。これをさらに進化・発展させていく事で、アジアを超えてより多くのファンを獲得できると信じています。
私個人としては、100人に及第点をもらうよりも、1人の人に“自分”必需品として「このブランドなしでは毎日が成り立たない!」と、強い愛着をもって、人生の相棒として長く使い続けていただけることを目指しています。
二つ目は、事業経営のスピードとアジリティ(機敏性)です。何か予期せぬ課題や事業継続上の困難が発生した際、社長以下経営のキーパーソンが一同に会し、迅速に意思決定する仕組みがファイントゥデイにはあります。これは、CEOの小森さんが掲げる「経営の透明性」の現れであり、不透明・不確実といわれる時代、間違いなく当社の強みの一つと捉えています。
最後は、社員一人ひとりのプロ意識です。資生堂から来たメンバーもキャリア採用で入社したメンバーも、自分の仕事に責任とプライドを持ち、エキスパートとして力を発揮しています。ゼロから組織を立ち上げた部門も多く、人員体制や組織ケイパビリティはまだ発展途上にありますが、社員一人ひとりの仕事の質や情熱は、これからの持続的成長に向けた一番の経営資源であると認識しています。
世界中をときめかせる企業を目指して
―今後、ファイントゥデイをどのような会社・組織にされたいですか?また、今後の展望、ビジョンを教えてください。
石川:創業から3年が経ち、会社の真価を発揮するステージに入っていきます。未来への指針は、絵に描いた餅ではなく、みんなが夢の実現に向けて努力できることに意味があると考えています。そのために、次世代の経営を担うメンバーをコアメンバーとして招聘し、「2030年に目指したい姿」と、その実現に向けたファイントゥデイの「強み(コアコンピタンス)」をまとめ、24年頭にCEOから全社員に向けて発信しました。
創業以来、メンバー同士の想いがぶつかり合うところに、会社全体を動かすような大きなエネルギーが生まれることを実感してきました。社内からも外からも、目が離せないわくわくしたチーム、心躍るブランド群にあふれた、世界中をときめかせる企業と思われるようになりたいです。
そのためには、社員一人ひとりがチャレンジし、成長の原動力となり、社会への大きなインパクトを与えるベストプラクティスが同時多発的に生まれる会社、失敗を許容する懐の深い会社を目指しています。資生堂から独立後、ファイントゥデイの魅力を開花させることは、ふるさとへの恩返しだと思っています。
―このビジョンの実現に向けて、石川さんはどのような役割を担っていきたいですか?
石川:私の強みは、「ずうずうしいこと」です。責任範囲や利害の異なる部門間の壁を超えて物申すのは難しいものです。プロ意識が高ければ尚更です。長く組織に関わり、さまざまな経験を重ね怖いものがなくなってきた私なら、「あなたの力が必要」と言えます。最初から輪になって目的意識を共有できるよう、いつもいろいろな会議で「石川をうまく使ってください」と言いまくって、緩衝材の役割を買って出ています。
ブランドは人の頭の中にしか存在しません。いろいろな部門のプロの仕事を束ね、ブランドの価値を届けられるよう、バリューチェーンにしていくのがCBOの役割だと思っています。
今後も感動やときめきを届けられる新ブランド開発とブランドファンづくりを、CBOとして全力でサポートしていきたいと思っています。
―最後に、これまで共に頑張ってきた社員へメッセージをお願いします。
石川: 振り返ってみると、分離独立・事業継承という特殊な環境下で、数多くのプロジェクトに参画し、社内外問わず力を合わせて得られた人と人との強い絆が一番の財産であり、その絆づくりそのものが醍醐味であったと思います。全力で取り組んでくれた全メンバーに感謝の気持ちでいっぱいです。
誰もが、自分の意思でこの会社を選んだのだから、この会社でやり遂げたい夢があるはずですよね。その実現に向けて、思う存分あばれて欲しいです! (コンプライアンスは厳守で)
私は亡くなった父によく言われました。「由紀子、思い切ってやれ! 骨は俺が拾ってやるから」。骨になっては困りますが、父の気持ちが良くわかる今日この頃です。
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