美しく弾む艶髪が背中を押す。18年ぶりのリニューアルでTSUBAKIが世界に届けたいもの
2024年9月、ファイントゥデイのヘアケアブランドTSUBAKIはフルリニューアル*1 を遂げました。
2006年に資生堂から発売されて以来、18年こだわり続けてきたコア成分である椿オイル*2 が、このたび大きく進化。パッケージデザインも装いを新たにし、美しい艶髪をお届けしたいというTSUBAKIの新たな決意を表現しています。
この大きなプロジェクトをリードした伊藤ブランドマネージャーと鈴木アシスタントブランドマネージャーにインタビューを行い、リニューアルの背景や、海外全域でも展開するグローバルブランドとしての苦労ややりがい、そして今後の展望を語ってもらいました。
原点に立ち返ったコンセプト設計。2か月間の徹底議論
―今回のフルリニューアル*1 は、どのような経緯で実施が決まったのでしょうか。
伊藤:リニューアルの実務に動き出す前に、メンバーと徹底的に議論を重ね、主に2つの点を再確認しました。
一つめはブランド独自価値の再定義です。
まずは、TSUBAKIをどのようなブランドとしてお客さまから認識されたいかを改めて考え直しました。
直近では2022年のリニューアルで日本市場で主流の一つだったダメージケア機能を押し出していました。ただ今回はもっと根源的な視点に立ち、TSUBAKIが本当に生活者に提供していくべきブランド価値は何かを考えました。それはブランド誕生時のTVCMでも表現されていたような、美しい艶髪を手に入れることで女性たちが自信を持ち、前向きな心持ちへと変化していく、エンパワーメント感(その人本来の力や自信を引き出す)ではないか。私や鈴木さんのように、他企業からファイントゥデイに入ったメンバーも入り混じり、多角的に議論する中で方向性が見えてきました。
二つめはグローバルブランドとしてのTSUBAKIのありかたです。
海外拠点も含めた一枚岩でTSUBAKIブランドを作り上げていこう、という決意の共有をしました。
TSUBAKIは、日本を含むアジアの全11地域で展開するグローバルブランドです。こうしたアジア一帯を一つのフィールドとして捉えていきたいと思っていました。
私たちは、美しい艶髪になることで心も前向きになり自分に自信を持ちたい、という気持ちは世界でも共感される価値だと考えました。そこで、TSUBAKIが提供したいこの価値を具体化したブランドステートメントを作成し、日本・中国・ベトナムにて生活者にヒアリングを行いました。すると全地域で高い共感を得られ、「シャンプーブランドには機能性しか求めていなかったのに、高揚感やエンパワーメントなど、ここまで壮大なことを考えているなんてとても期待できる」という声が挙がったのです。自分たちの方向性は間違っていないと自信を持ちました。
―そのような議論や仮説の検証などを経て、リニューアルの道筋ができていったのですね。
鈴木:製品の処方は、デビュー当初から大切にしてきた“椿オイル”をゆるぎない軸としながら進化させる。ボトルでもツバキの花や、TSUBAKIを使うことで実現できる美しい艶髪を表現しつつも一目で“美しい”と思えるものにする。処方も容器も変更するこのリニューアル目標を2024年秋に設定しました。
しかし処方や容器の変更は短期間ですぐできるものではないため、まず着手できることとして、2023年からコミュニケーションを軸としたブランド価値向上に挑みました。
発売当時の印象のままではなく今の時代に合った、かつ海外の人たちもエンパワーするようなクリエイティブとして、椿オイルの力や美しい艶髪を手に入れて人生を謳歌する様子を描くものを制作し、アジア各エリアで動画やWeb広告、バス停のサイネージ広告なども展開したところ、リニューアル前から大きな反響がありました。
18年ぶりの成分リニューアルは必然の流れだった
―2006年の誕生以来、長年こだわってきた椿オイルという成分を変えるのは、重大な決断だったのではないでしょうか。
鈴木:椿オイルがコア要素であることは不変なのですが、上記のコンセプトやそれに込めた私たちの想いを、説得力をもって伝える方法を考えました。そのためには、椿オイルをファイントゥデイならではの切り口でさらに進化させ、TSUBAKIがこだわり続ける「艶」をバージョンアップさせることが必要でした。
そこで椿オイル単体にとどまらず、スクワランなどの成分をブレンドし、髪の脂質組成に限りなく近づけた「椿オイルフォース」*3 をR&D本部や商品開発部と共に開発しました。
リニューアルありきではなく、TSUBAKIを使ったときに感じてほしい気持ちを具体的に掘り下げて整理していく中で行き着いた答えでした。
―「椿オイルフォース」に込めた想いは、「1回目から、生きた艶*4 弾む髪」というコピーにも表れているということでしょうか。
伊藤:これは海外を意識した表現にもなっています。海外の生活者にとってシャンプーは汚れを落とす機能が中心で、髪をきれいにする効果を期待している人はあまり多くありません。そのような中、海外の生活者テストで確認した、TSUBAKIはたった一回の使用でも髪の艶感を感じられることを体感してほしい、という想いを込めています。
日本の生活者にも、ブランド発売当時使っていたけれど今は使用していない方に、もう一度感動を感じてもらいたいという想いもあります。
アジアの多彩な文化に応え、ファンを増やし続けるグローバルブランドとして
―グローバルブランドとして、地域ごとの文化などの違いをどのようにまとめあげていったのでしょうか。
鈴木:パッケージ一つとっても、各地域で嗜好が異なりました。例えば、日本では丸い曲線の形状に女性らしさなどを感じるといってポジティブに受け止められた新ボトルも、東南アジアでは四角い形状に高機能性を感じるのでそちらの方が好きという意見が出るなど、文化やその国・地域の嗜好によって意見が分かれることもしばしばでした。
こうした感覚の差異は、デスク上で調査結果を見るだけでなく、海外現地を視察し、各地域の生活者の感覚を直に体感することで学んでいきました。現場を見て初めて分かることも多く、地域毎の違いを受け入れながら、その感覚をパッケージ・処方・クリエイティブに反映させていくことで各地域に受け入れられるものを目指しました。
加えて、海外ではTSUBAKIに「プレミアム感」を感じているという共通点はありましたが、それをクリエイティブで表現する際の「プレミアム」の具体的なイメージは微妙に異なるということもありました。
こうした感覚のズレを統一させるために、TSUBAKIが目指す表現のトーン&マナーを具体的な言葉や写真で表したガイドを作り、各地域で異なる「言語」ではなく「ビジュアル」で共有・議論しながら、全世界のどの人が見ても「プレミアム」だと感じてもらえるクリエイティブを目指すことにチャレンジしました。
こうして、文化や美意識が異なるアジアのさまざまな生活者に応えられるようなリニューアルを遂げることができたのは、非常に感慨深いです。海外での発売は2025年からを予定していますが、どのような反応が寄せられるか楽しみです。
―今後取り組んでいきたいことを教えてください。
伊藤:一人でも多くの方に髪がキレイになることで前向きな自信を手に入れてほしいと思っています。そのためにTSUBAKIは、日本人が古来大切にしてきた「髪は自らの分身、そして美しさの象徴」という美意識を世界中の生活者にも共感してもらえる活動を続けていきたいです。
―最後に、生活者の皆さまへのメッセージをお願いします。
鈴木:シャンプーは毎日使うものですが、TSUBAKIを使うことで少しでもその毎日が前向きになっていったら嬉しいです。パワーアップした新TSUBAKIをぜひ手に取ってみてください。
*1 プレミアムEX リペアマスク〈ヘアパック〉を除く全商品
*2 ツバキ種子油(保湿・保護・ツヤ・補修)
*3 ツバキ種子油、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、スクワラン:補修、保湿、ツヤ
*4 しなやかに弾む髪に走る艶のこと