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伝統を継承し、革新する。組織力で持続的成長の実現へ【トップインタビュー】

2024年7月、資生堂からパーソナルケア事業を引き継いで誕生したファイントゥデイは、創業3周年を迎えました。そこで、経営陣がグループのこれまでの歩みを振り返りながら、ファイントゥデイが目指す未来とそれぞれの想いにフォーカスするトップインタビュー連載をスタートしました。第2回は副社長執行役員 日本事業本部長の髙津さん。日本事業立ち上げ時の苦労や現在取り組んでいる変革、今後の展望について聞きました。


【プロフィール】髙津 繁一(たかつ しげかず)
株式会社ファイントゥデイ 副社長執行役員 日本事業本部長
1990年、(株)資生堂に入社し、グループでパーソナルケア製品を扱う事業に配属。その後、化粧品事業を担当。担当領域は変わっても、一貫して資生堂グループ内で営業領域を担当。2021年7月のファイントゥデイ創業とともに現職に。
若い世代のトレンドを娘さんから学ぶことも。

既存メンバー×キャリア採用メンバーの熱意で多様性に富んだ強い組織に


―はじめに、日本事業本部長として創業から3年の歩みを教えてください。

髙津:ファイントゥデイは2021年7月に資生堂から事業を引き継ぎ、パーソナルケア部門の営業・マーケティングメンバーを中心に約300名で創業しました。

創業当初は、会社としての基盤を整えるため、資生堂のサポートを受けながらのスタートでした。いわば補助輪をつけた形で走ってきたわけですが、2022年中にパーソナルケア事業を行う海外子会社の取り込みを完了するとともに、2023年には、国内外での生産拠点の取得や自前の研究開発施設の開所を実現しました。これにより、技術開発から生産、マーケティング、販売に至る一貫したビジネスシステムが整い、自立・自律した会社となることができました。

国内事業に目を向けると、引き継いだ数百億円規模のビジネスを維持・成長させながら、並行して資生堂に間借りしていた全国7オフィスの移転を進めました。2023年中に全拠点の移転を完了し、新たな環境での営業体制が整いました。

移転して新たにオープンした大阪オフィスのエントランス

―3年を振り返って、日本事業本部長として苦労されたこと、やりがいを感じられたことを教えてください。
 
髙津:まず苦労したのは組織づくりです。立ち上げメンバーは、資生堂からの出向者で構成されていたのですが、資生堂への帰任を選択することもできました。何人が当社に残留してくれるかわからず、私としても営業力低下を懸念していましたが、結果的には中核を担う多くのメンバーが、アジアNo.1のパーソナルケア企業になるという目標に共感し、当社での新しい挑戦をポジティブにとらえて残留を決断してくれました。彼らの決意がとても嬉しく、結束力も高まったと感じています。
事業拡大に向けてキャリア採用を開始すると、食品業界やハウスメーカー、コンサルなど多種多様な業界から専門能力のあるメンバーが加わり、事業活動の質と量の双方を維持することができました。
 
振り返るとあっという間の3年間でしたが、既存メンバーの熱い思い、そしてキャリア採用メンバーの「一日でも早く戦力になりたい」との意識が相乗効果を生み、多様性に富んだ強い事業組織に成長したと思います。改めて日本事業に携わる多くのメンバーに感謝したいと思います。

「営業」「マーケティング」「企画・推進スタッフ」の三位一体で「お客さま起点での愛用者拡大」を目指す


―事業を進めるうえで資生堂から引き継いだこと、反対に変革したことは何ですか?
 
髙津:引き継いだものの一つは、資生堂時代から築き上げてきた「取引先との関係性」です。私自身、営業部門の経験が長く、取引先と緊密な関係性を構築してきましたが、事業譲渡が発表されると取引先から多くの応援メッセージをいただきました。これは我々にとって大きな原動力となっています。この関係性を礎に、我々の強みである、「提案型営業」を磨き上げ、他社とは一線を画する事業スタイルを確立しています。
 
変革を推し進め、現在我々の強みとなっているのは、風通しの良い組織風土です。スタートアップらしく、年齢や経験にとらわれることなく裁量を持たせ、活躍の機会を与える風土のもと、日本事業本部は「営業」「マーケティング」「企画・推進スタッフ」が三位一体となり活動しています、この目的は「お客さま起点での愛用者拡大」、つまり新規顧客との関係性構築と、既存顧客との関係性深耕です。
例えば、新製品のローンチにおいても、部門横断プロジェクトを立ち上げ、全国レベルでスピーディに展開するなど、高速なPDCAを可能にしています。多様な活躍の場があり、自身の貢献が目に見えることで、社員のやりがいにもつながっていると考えています。

全員が集まる会議で日本事業本部のメンバーに語りかける髙津さん

―国内での営業・マーケティおいて特に注力したことは何でしょうか。
 
髙津:注力したことは利益率向上に向けた数字の「見える化」、そして「徹底的な無駄の削減」です。
ファイントゥデイの創業後間もなく、小売店ごとに収益性を可視化できる社内システムを構築しました。これは私自身、昔から「自分の営業活動が会社の利益にどのように貢献しているか知りたい」という思いがあったからです。これにより現場の社員が、自らの営業活動がどのように会社に貢献しているのかを可視化できて、個々の経営意識も高まっています。
 
同時に、メンバーの経営意識をさらに高めていく取組みとして、業務コストの徹底的な見直しも行いました。例えば小売店での販促物に関しても、発送サイズの工夫や他社との共同輸送などで費用を削減したり、返品されてきた自社の商品が処分されている様子を見せて、どれだけの無駄が発生しているか実感してもらいながら返品のムダを削減したりと、さまざまな施策を行いました。

他社との販促品の共同輸送で使用する資材

受け継いだ伝統×スタートアップ企業のチャレンジ精神が「ブランドの持続的成長」の原動力に


―髙津さんの目線から、ファイントゥデイグループにはどのようなユニークさがあると思われますか?

 
髙津:一つは、資生堂から受け継いだ伝統や美意識、高品質といった強みに加え、意思決定スピードやチャレンジ精神など、スタートアップ企業らしい強みを合わせ持っていること。もう一つは、高いシェアを誇るブランドや製品を数多く有し、それぞれの領域で存在感を示していること。そこに、さまざまなバックグラウンドを持った社員による多様なアイデアが融合し、創業わずか3年ながら、独自のユニークさを築けているのではないでしょうか。
 
―これからファイントゥデイグループや日本事業本部をどのような会社・組織にしていきたいですか?
 
髙津:新しい価値を生み続け、ブランドの持続的成長により愛用者が世界中で広がり、50年、100年後も続く「アジアNo.1のパーソナルケア企業」を目指します。
 
訪日観光客の方々にも我々の製品を多くお買い上げいただいていますし、最近では、アメリカなど事業展開していない地域でも口コミで製品人気が広がるなど、世界に愛用者が広がる兆しを感じているところです。
そのためにも、母体である日本が未来の成長原資を生み出す事が重要です。社会の変化に柔軟に対応し、どのような状況においても持続的な成長を遂げられる組織づくりに取り組んでいきます。
 
―最後に、これまで共に頑張ってきた社員へメッセージをお願いします。
 
髙津:ファイントゥデイの礎を一緒に築き、スタートアップからアジアNo1のパーソナルケア企業への軌跡を皆で歩んでいきましょう。「お客さま起点での愛用者拡大」の合言葉のもと、常にお客さまの方向を向いて、共に歩み続けた先にその景色は存在します。一緒に頑張ろう!!

日本事業本部の会議では活発な議論が交わされます。

髙津さんが大切にしている言葉・価値観
座右の銘は、幕末に活躍した長州藩の志士・高杉晋作の句「おもしろきこともなき世をおもしろく(住みなすものは心なりけり)」です。一見面白くないことも、心持ちや見方次第で変わるという意味ですが、仕事においてもこの言葉を大切にしています。
仕事は順調な時ばかりではありません、つまずく時もあればつらい時もあります。そんな時こそ前向きに情熱をもって物事にあたり、仕事に誇りを持つ。そうすれば必ず突破できると考え、実践してきました。そうして一つひとつの経験を積み上げていくことで、自分自身も成長できるのではないでしょうか。

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