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SENKAが取り組むSDGs~流通網のムダを削減し、“三方よし”の実現へ~

製造業にとって、在庫の適正化をはじめとした、効率的な流通網の構築は重要な課題です。
効率的でムダのない流通網は、企業自身の収益性向上はもとより、環境負荷の低減やサステナビリティの実現にも貢献します。
それだけでなく、国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の中に「つくる責任・つかう責任」が定められている通り、企業にとっての責務ともいえるものになっています。
 
多くのお客さまから支持をいただいているリーズナブルで高機能なスキンケアブランド「SENKA」では、2023年2月の製品リニューアルを機に、従来の常識にとらわれず、流通網の効率化に取り組んでいます。
さらに在庫を活用した社会貢献活動にまで取組みを広げ、さまざまなステークホルダーの満足度向上に努めています。
今回、取組みのキーパーソンとなった、日本事業本部 SENKA グループ 井村ブランドマネージャーと、同本部 トレードマーケティンググループ 石田マネージャーに、今回の取組みに込めた想いを聞きました。


【プロフィール】 井村 亮哉 
日本事業本部 ブランドマネージャー(SENKAグループ)
2016年資生堂入社。マーケティング本部でuno、エージーデオ24、SENKAを担当。ファイントゥデイ入社後はSENKAのグローバルマーケティングを担当し、ブランドの成長に貢献している。

【プロフィール】 石田 元気 
日本事業本部 マネージャー(トレードマーケティンググループ)
2012年資生堂入社。入社後は一貫して営業を経験。2022年7月より現職。ブランドと営業の橋渡し役として、各種取組みの推進役を担う。

新たな発想で流通網を改革

まず、この取組みの概要を教えてください。

井村:2022年2月に実施したSENKAの製品リニューアルに際し、リニューアル前の既存製品の在庫量を綿密に管理し、調整することで、余剰在庫を大幅に減少させるとともに、最終的に未出荷となる製品を社会貢献に役立てることで、多方面のステークホルダーに価値を提供する取組みです。
 
具体的には、余剰在庫の削減による、SENKAが提供するブランド体験の最大化・収益性向上とともに、返品作業の減少による販売店さまの人的・時間的コストの削減、返品の輸送や処分に伴う環境負荷の低減、そして、未出荷製品の寄贈による生活者への貢献を実現しました。

「三方よし」で各ステークホルダーに対して実現する価値

なぜSENKAがこのような取組みを始めたのですか?

井村:これまで長年マーケティングに携わってきた中で、製品リニューアルのたびに在庫が返品され、処分される現実を見てきました。リニューアルによって価値を高めた製品へ切り替える必要があるため、古い製品を販売するわけにはいかないことは理解しているのですが、まだ使える製品がムダになってしまうことへの違和感をずっと抱いていました。
 
ファイントゥデイは2021年7月に創業し、資生堂からSENKAのブランドを引き継いだわけですが、創業後初の大規模リニューアルとなる2023年2月のリニューアルにおいて、その問題意識を少しでも解決してみようと思ったのがきっかけです。

どのように取組みをスタートさせたのですか?

井村:ファイントゥデイは、立場に関わらず、さまざまな提案を気軽に発信し、部署を超えてその提案を議論する風土があります。
幸い、私の上司である日本事業本部長も、返品については課題意識を持っていて、強力に後押ししてくれました。一方で、第一線の営業の方には、オペレーションの変更によりかなりご苦労をおかけすることとなりました。
 
石田:私は全国の営業担当者の窓口として、在庫管理の方法が変更となる今回の取組みを、いかにして営業担当者に理解してもらうか、そして、それを商談の場でいかに販売店様にもご理解いただくかを必死に考えました。

どのように全社を巻き込んでいったんですか?

石田:今回の取組みにおいては、リニューアル後の店頭展開についてだけではなく、リニューアル前の在庫平準化についても、販売店さまにご理解・ご協力いただく必要がありました。
リニューアルを前に、全国の営業担当者が集まる会議の場で、どのように販売店さまに説明したらいいのか、徹底的にディスカッションして、具体的なイメージを持ってもらえるように工夫しました。
こちらからの説明だけではなく、営業担当者の皆さん自身でイメージを膨らませてもらう場となるよう工夫しました。
幸い、ファイントゥデイという新しい会社で、営業担当者の中にも、「何か新しいことに挑戦したい」という意識を多くの方が持っていたこともあり、前向きに取り組んでいただけました。
 
この取組みは、全国の営業担当者が推進の主役です。全員が、販売店さまに真摯に向き合い、努力してくれました。本当に皆さんの力のおかげで推進できました。

営業担当者の会議の様子

井村:その通りですね。また、今回の取組みはマーケティングや営業部門だけでも成立しません。
在庫の管理・調整にあたっては、サプライチェーンの担当部門、財務部門、そして工場など、多くの部門の協力が必要です。ファイントゥデイらしく、部門横断的にイチガンとなって取り組んでいます。

苦労した点は何かありましたか?

井村:この取組みは、当社の営業担当者による、販売店さまの店舗単位での精緻な需要予測がカギを握っています。インバウンド需要が急速に回復する中で、需要予測が非常に難しくなりました。
そんな中でも、サプライチェーンの担当部門や工場をはじめ、全社で柔軟な対応を行い、何とか乗り切ることができました。
 
石田:販売店さまには、需要の読みづらい中での在庫オペレーションにご心配をおかけする部分もあったと思うのですが、返品作業にかかる人的・時間的コストが削減できたことやスムーズな店頭切替へのポジティブな声もいただくことができ、改めて取り組んでよかったと思っています。

社会貢献にもつなげ、“三方よし”を実現

さらに今回の取組みでは、未出荷製品の寄贈による社会貢献も実現したそうですね。

井村:はい。保育園や社会福祉施設に、未出荷製品を寄贈する取組みを行いました。
先ほども話したように、使用期限が十分に残っていて、品質にも問題がない製品がムダになってしまうことへの違和感をずっと抱いていたので、それらを有効活用したいという思いから取り組みました。
実はこの取組みも、先ほど申し上げた精緻な需要予測の実施の結果、確実に寄贈できる数量を確保できたんです。

なぜ寄贈先として保育園や社会福祉施設を選んだのですか?

井村:お子様が、親御さんと一緒にSENKAを使って、洗顔を楽しめる体験の入り口を提供したいという思いがあったためです。
またSENKAというブランドは、より人々の心を明るく、エンパワーメントしたいという想いを持っています。SENKAの洗い心地を体験いただき、明るい毎日を送っていただきたいとの思いから、社会福祉施設への配布も決めました。

反応はいかがでしたか?

井村:身近な日用品ということもあり、多くの方に喜んでいただけました。これを機にSENKAが提供する「いいすっぴん時間」を実感いただけたら、これ以上ない喜びです。

多くのステークホルダーの方々に喜ばれる取組みとなったわけですね。

井村:そうですね。
売り手(ファイントゥデイ):ブランド体験の最大化と収益性向上
買い手(販売店さま):返品や在庫削減の省コスト化
世間:環境負荷の低減と社会貢献
という “三方よし”を体現できたと思います。

他ブランドへも展開し流通網のさらなる進化を目指す

最後に、さらに取り組んでいきたいことを教えてください。

井村:今回の取組みは、第一線の営業担当者の努力と他部門の積極的な協力なくしては、成し得ませんでした。これからも、この成功体験をもとに、これまでの常識にとらわれず、より効率的な流通網を構築していきたいです。
 
石田:この取組みは、SENKAだけではなく、他のブランドにも全社的に水平展開できる取組みだと思っています。将来的に、今回の経験をもとに、ほかのブランドにも取組みを広げ、SDGsの、「つくる責任・つかう責任」を果たすことに貢献し、より多くのステークホルダーの皆さんの満足度の向上を目指していきたいです。


【インタビューを終えて】
お二人の話しぶりから、この取組みへの熱い想いとともに、その裏側にある、「製品をムダにしたくない!」という製品への深い愛情がひしひしと伝わってきました。
 
その情熱ゆえに多くの人たちを巻き込むことに成功したんだなと感じましたが、一方で二人とも口を揃えて言っていたのが「この取組みの主役は第一線の営業担当者の皆さんなんです」「他部署の強力なサポートがなければ実現できませんでした」ということ。
チーム力の強さが印象に残りました。

このnoteでは、これからもサステナビリティに資するさまざまな取組みを紹介していきますので、どうぞご期待ください!


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